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希薄な目的意識と、時間単価の“共犯関係”

NBonline(日経ビジネスオンライン)にクロサカ タツヤ氏が『希薄な目的意識と、時間単価の“共犯関係”~下がり続けるIT関連業務の賃金』という記事を書かれています。

ユーザー自身が意識改革すべきという提言に異論はないのですが、IT業界に携わる側からの提言となるといくつかの疑問があります。

まず、最初に違和感を感じたのは、本来IT業界側が自己の意識改革で解決すべきことをユーザーへ責任転嫁しているのではないかということです。
『行き先を告げずにタクシー乗りますか』という例えがありましたが、実際のところはどうなんでしょう?
もしそうなら、『行き先を聞かずにタクシーを発車させる』ような業界にこそ問題があるのではないでしょうか?
しかし、ユーザーは『行き先を告げている』のが実情だと思います。ですので『行き先を聞かずにタクシーを発車させる』というようなことはないでしょう。
『行き先を告げずにタクシー乗っている』のではなく、『乗ってから行き先を変える』というのが実情でしょう。
でも、それはタクシーにおいても多々あることで、そのことが問題になることはないでしょう。

それよりも問題とすべきは、『行き先を告げている』にも関わらず『回り道をして料金メーターを上げるドライバー』の存在です。
確かに、『回り道』に気付かないユーザーやそれを指摘できないユーザーにも問題はあるでしょう。
しかし、タクシードライバーのプロとしての職務は『回り道をせず最適な道を選択する』ことではないでしょうか?
そのことが業界の評価へとつながり、堂々と対価を要求できる土壌をつくることだと考えます。
それは、IT業界自らが行うべき意識改革ではないですか?
決してユーザー側の意識改革で成しえることではありません。

次に、時間単価というビジネスモデルは否定すべきものかということです。
例えば、成功報酬という言葉が出てきましたが、ITソリューションは原則成功して当たり前なのですから、時間単価に成功報酬を付加するとそれは二重取りになります。
ユーザーとベンダー間においては、時間単価(人月単価)に変わるビジネスモデルは難しいと感じます。

次年度から『工事進行基準』が義務付けられます。
人がすべてのIT業界において、プロジェクトの人件費(原価)はどうしても人月単価や時間単価にせざるを得ない実情があります。
ですので、工数や原価の見積もりにおいていえば決して否定すべきビジネスモデルではありません。
問題にすべきは、その単価が妥当に評価されたものであるかということです。
ただ、それも妥当の基準がない以上は難しいといえます。

IT業界の技術者単価が下がってきたのは、下請け構造型のビジネスモデルの限界によるものだと考えています。
人材派遣会社が中間に入るようになって特にそれが加速したように思えます。

人材派遣会社は成果物に責任は負いません。現場に居さえすれば報酬が受取れます。
昔のことですが、ある人材派遣会社から技術者を受け入れたことがあります。
ある一人の技術者が2週間経っても成果物を一つも上げることができずお引取り願いました。
そして、その2週間分の費用は当然のごとく請求してきました。
表向きは時間単価というビジネスモデルの問題であるように見えますが、そうではありません。
単価は時間で決めても良いのですが、仕事の責任までもが時間にしかないのが問題なのです。
成果物に責任を負うのであれば、その成果物の作成にかかった時間分の費用を払うことに問題があろうはずはありません。

結果的に、成果物に責任を負わないのであれば時間単価は下がって当然です。
さらに、人材派遣会社の中間マージンがありますから、技術者への単価はさらに下がっていきます。
そうすると、その単価なりの技術者しかきません。結果的に品質が下がります。
品質が悪いものに費用は掛けられませんから、ユーザーからの予算も少なくなります。
そして、さらに時間単価の低いそれなりの技術者が来て…。

成果物に責任を負わないのは技術者ではありません。

自らの『仕事における本来負うべき責任とは何か』を見直し、その責任を全うするためにそれぞれが何をすべきかを真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか。
今、IT業界は自ら自分の首を絞めているように感じます。
責任と対価ということを技術者はもっと自覚すべきです。
そうでなければ、まだまだ時間単価は下がっていくことでしょう。

そして、ベンダー各社やユーザーは責任を自覚している技術者個人をもっと評価してください。
技術者個人が評価されるようになれば、業界に魅力が生じ良い人材も現れると信じます。
2008-08-29 17:54:09 投稿者:代表コメントを追加する

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